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國木田獨歩『忘れえぬ人々』における「小民」分析

2017-10-21 22:13伍開朗
西江文藝 2017年19期
關鍵詞:小民空間琵琶

伍開朗

【要旨】:國木田獨歩は「民衆の詩人」だと言われてきた。確かに、獨歩の文學の中に永遠に生き続けるヒーローやヒロインたちの大部分は英雄でもなければ女傑でもない。かれらは獨歩が自ら「小民」と名づけているように、歴史の谷間に忘れられていった無名の民衆に等しい存在である。本稿は作品に基づいて作品に現れた「小民」像を分析し、また、「愛と誠と労働の真理」を信條とした近代日本のキリスト教との間で果たして関係があるだろうか。さらに、最後に大津が「忘れえぬ人々」この文章にもう一人を書き加えたが、その人は亀屋の主人であり、畫家の秋山ではなかった。その原因について探究したいと思う。

【キーワード】:國木田獨步;小民;自然觀;浪漫主義

一.孤島の漁夫

【本文2】と見るうち退潮の痕が日に輝っている処に一人の人がいるのが目についた。たしかに男である。また子供でもない。何か頻りに拾っては籠か桶かに入れているらしい。二三歩あるいてはしゃがみ、そして何か拾っている。自分はこの淋しい島かげの小さな磯を漁っているこの人をじっと眺めていた。船が進むにつれて人影が黒い點のようになってしまって、そのうち磯も山も島全體が霞の彼方に消えてしまった。

「小さな磯を漁っている」この漁夫は、船の進むにつれて、「霞の彼方」に「黒い點」になって消えた。無限の空間である大自然で人間はただ小さい存在であることを大津が感じた。そらに、本文3の部分によると、大津は無窮の天地に「生の孤立を感じる」時、これらの人々が「心に浮かんで來る」のである。つまり、この漁夫を忘れないのは、彼を見るとき、孤獨の共感が大津とこの漁夫の間に存在することであろう?!腹陋殹工涡∶裣瘠饷鳏椁摔胜盲?、

二.阿蘇山の馬子

【本文4】天地寥廓、而も足もとでは凄まじい響をして白煙濛々と立騰り真直ぐに空を衝き急に折れて高嶽を掠め天の一方に消て了う。壯といはんか美といはんか慘といはん歟、僕等は黙然たまゝ一言も出さないで暫時く石像のように立て居た。此時天地悠々の感、人間存在の不思議などが心の底から湧いて來るのは自然のことだらうと思ふ。

本文の內容によると、大津は阿蘇の噴煙を見ながらこの馬子(壯漢)を見送っている。先ほど、山上に悠々たる天地に対する感動もまだ殘り、この時馬子の「悲壯な聲」が彼の心を動かした。つまり、悠々たる天地に孤獨な馬子の「悲壯な聲」が響いている。無窮の天地における孤獨な小民の姿が見える。

三.浜の琵琶僧

三番目の人物は、四國の三津ケ浜で、晴れ渡る日に朝市で出會ったひとりの琵琶僧である。その時のことが以下のように示されている。

【本文6】あの嗚咽する琵琶の音が巷の軒から軒へと漂うて勇ましげな売聲や、かしましい鉄砧の音と雑ざって、別に一道の清泉が濁波の間を潛って流れるようなのを聞いていると、嬉しそうな、浮き浮きした、面白そうな、忙しそうな顔つきをしている巷の人々の心の底の糸が自然の調べを奏でいるように思われた?!和欷à倘恕护我蝗摔蟿tちこの琵琶僧である。

琵琶の音とこの「忙しそうな巷の光景」はいかに調和しないだろう。大津は感嘆する一方で、琵琶の音は「別に一道の清泉が濁波の間を潛って流れるよう」に、騒がしいこの巷に流れ、無限の天地に響いている。その巷でで誰も知らない大津は琵琶の音を聞いて、自分と同じような孤獨な存在である琵琶僧に感動された。つまり、孤獨な「小民」である。

四.亀屋の主人

亀屋の主人は最後に、「忘れえぬ人々」に書き加えた人物である。この「小民」についての描寫は主に作品の最初の部分に集中される。大津が亀屋に入る前のことが以下のように書かれている。

【本文7】この日は大空かき曇り北風強く吹いて、さなきだに淋しいこの町が一段と物淋しい陰鬱な寒そうな光景を呈していた。昨日降った雪がまだ殘っていて高低定まらぬ茅屋根の南の軒先からは雨滴が風に吹かれて舞うて落ちている。草鞋の足痕に溜まった泥水にすら寒そうな漣が立っている。日が暮れると間もなく大概の店は戸を閉めてしまった。

作品の視角は亀屋の內から、溝口に移し、さらに、広い「武蔵野」まで転じた。淋しい町で亀屋の店だけがまだ営業している。無窮の天地における亀屋は、まさに孤島における漁夫ように小さい。亀屋の主人も「武蔵野」という無限の空間の中で、一つの孤獨な存在になった。

參考文獻:

[1]定本國木田獨歩全集古岡秀人學習研究社昭和53

[2]國木田獨歩の自然描寫三宅義信近代文學試論 (3), 1-12, 1967-06-25

[3]「獨歩と透谷の自然」中村光夫『近代の文學と文學者』朝日新聞社、昭53·1

[4]溝の口龜屋探索記 : 國木田獨歩神野幸人佐伯史談 (193), 26-28, 2003-06

[5]國木田獨歩の文學宮本文彥千葉敬愛短期大學紀要 9, 13, 1987-03

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